あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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エースコンバットZEROの読み物。
ベルカ戦争を駆け抜けた鬼神の姿を、登場人物の視点から振り返る
エースコンバットの世界で
2005年時点の読み物。
ブレット・トンプソンがヒロインの物語。
エースコンバットの短編ら
ジャンルは特に指定なし。
1Pで収まる文字ものたちです。
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2009/06/23-------
カテゴリー「コラム?語り」を「コラム・ネタ・語り」に変更
2008/08/22-------
ACEたちの欠片に前からあったのを追加
2008/08/08-------
ACEたちの欠片に一文
2008/07/14-------
機体操作・小ネタ集に
当たり判定追加
2008/07/11-------
我が家のキャラクター紹介に
大量追加
2008/06/18-------
人物をラクガキするに
5~10点追加
2008/06/10-------
THE GAUNTLET #5に
現在の記録SS追加
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生命線であるルート171の奪還、B7R陽動作戦、連合軍として初作戦のフトゥーロ運河の確保、空挺部隊降下支援、―――そして、首都ディレクタスの開放。
俺たちは、着実にウスティオ開放への道のりを飛び抜けていた。
俺たちは、着実にウスティオ開放への道のりを飛び抜けていた。
時刻は―――夕刻頃だったか。
日が傾き始めた黄色い空には、薄雲が広がっていた。
ディレクタス5地区の開放。それが今回の任務だった。
首都であるディレクタスを開放すれば、ウスティオは事実上ベルカの支配から開放されたに等しい。
この作戦はそういう意味でも、俺にとっても、―――とても重要な作戦だった。
≪サイファー、作戦は成功する≫
俺は自由への開放の足がかりになるという重要な任務に、隠しても隠し切れない高揚感を感じながら、サイファーに無線でそう語りかけた。
右斜め前を飛ぶあいつの機体が、ここ一ヶ月で見慣れたとおり、左右の主翼を交互に揺らし、更にはくるりと機体を一回転させた。
サイファーも俺と同じようにこの任務の重要性を意識して、いつもの無口に高揚感を少なからず上乗せしているのかもしれない。
そう思うと無愛想な機体が、ほんの少し微笑ましく思えてくるから不思議だ。
この一ヶ月弱、先に挙げた作戦を筆頭として、サイファーと行動する機会が非常に多くなっていた。その中で、俺はだんだんとあいつの力を信じ始めていた。
あいつとならできる。
この戦争を、不当な抑圧を、不毛な争いを、開放に導くことが出来る。
俺は操縦桿を握る手に、改めて力を込め直した。
≪ガルム1、FOX2≫
ガルム1のミサイルに対して、AWACS別名イーグルアイが、こともなげに無線を添えた。
キャノピーのはるか向こうで、黄色い空に光の飛跡をばら撒いていた対空機銃が、パッと土ぼこりをあげて爆散する。
兵装を使用する際には、俺に限らず普通はもちろん自分で言うものなのだが、サイファーは前述の通り、その際にも一切口を開かない。
もしかしたらあまりの無口さに、イーグルアイが見かねて勝手に実況しているのかもしれない。
正直、ガルム隊二番機でもなければ、気付けば戦場のどこかへ無言で舞い降りていってしまうサイファーの軌跡を、目に留めることはなかっただろう。
よほど注意して見ていなければ、俺でさえサイファーについていくのは一苦労だ。
≪第三区を制圧。残り二区≫
AWACSの無線が三区の開放を告げる。
俺の見ていない間に、地上部隊はあらかたサイファーに蹴散らされていた。
レーダーの識別信号からサイファーの居場所をつきとめ、アフターバーナーを使用して飛びぬける間にも、大地穿たれた大穴や、黒煙を挙げて炎上する戦車やSAMが転々と流れていった。
高度を下げて、バーナーを緩めると、キャノピーの外から辛うじて異質な音が聞こえてきた。
≪何だ?なんだあの鐘の音は!≫
混乱に乗じて、敵の無線も飛び込んでくる。
外から聞こえる、教会の塔のてっぺんから聞こえる鈍い音。
―――自由を告げる鐘の音だった。
≪懐かしい音だ≫
恐らくウスティオ兵士の誰かの声だろう。そんな呟きが聞こえる。
≪鐘を鳴らせ!もっと鳴らすんだ!!≫
民衆の歓声が聞こえる。
俺たちは今、真の自由を手にしようとしている。
≪街中に響かせろ!俺達の自由の証だ!≫
≪何が起きているんだ!なんだお前たち、民間人は避難を・・・≫
≪やめろ!≫
≪街を取り戻せ!今こそ立ち上がるんだ!!≫
≪住民が蜂起して暴動を!!≫
悲鳴のようなベルカ軍の無線、そのBGMとなるように民衆の怒りの声、湧き上がる自由への叫びが途切れることなく舞い込んでくる。
≪第4区のベルカ地上部隊を排除!市民が自由の鐘を鳴らしている!≫
≪出て行け、ベルカは出て行っちまえ!!≫
≪ディレクタスの開放だ、万歳、俺たちの街だ!!≫
自由を告げる鐘の音。
自由を手にする民衆の声。
気付けば、サイファーが隣に並んで飛んでいた。
夕日に眩しく光るキャノピー越しには、サイファーがどんな表情をしているか窺い知ることは出来なかった。
あいつの機体は、ベルカ軍の撤退していく方向を真っ直ぐに指して、ただ静かに浮かんでいるように見えた。
とても先ほどの鬼のような活躍をしてみせた機体とは思えないほど、優雅で、綺麗な飛び方だった。
≪こちらイーグルアイ。全区開放されたようだな≫
≪いや・・・待て、警告!警告!敵増援部隊の接近を確認≫
今更かよ?
民衆の鳴らす鐘の音。
喜びの声。舞い散る紙吹雪に、広場にあがる、ベルカの痕跡を拭うための炎。
ここにベルカの航空機がたった二機で戻ってきたからといって、もはやディレクタスの民衆は街を空け渡したりはしないだろう。
―――まあいい。自由を取り戻すための、最後の仕上げとしようか。
≪ここは俺たちで相手しよう≫
俺の静かな無線に、相棒は身震いするように、機体を少し揺すって、迎え撃つべくぐんと高度をあげた。
空の彼方。
大きく盛り上がったコックピット前部にちらりと見えるカナード。
機影は、二機だけだった。
そして、入ってきた無線も、二言だけだった。
≪ゲルプ2。不愉快な鐘の音を止めるぞ≫
≪了解≫
無線の声音からですらはっきり伝わってくるこのもやもやした感情を、俺は知っている。
―――これは、憎しみだ。
シュ
そんな音をたてて、右隣を飛んでいた相棒の機体が浮かび上がる。鋭い機動だった。
放たれる憎しみを余すことなく受け止め、俺達はニ機の正面に立ちはだかる。
―――もう再び奪わせはしない。
サイファーの、固くて鋭い意志が伝わってくるようだった。
そして俺も、同じ気分だった。
≪了解、相棒≫
双方が双方とも、互いに恐れもせずに、アフターバーナーを全開にしてその舳先を付きつけ合う。
相手の座った瞳の奥まで貫けるのではないかと思われるほどのスピードと正確さで、サイファーはGelb1に照準を合わせた。
―――ヘッドオン。
あわやぶつかる、と思った次の瞬間に紙くずのようになって散っていったのは、サイファーとすれ違ったGelb1の機体だけだった。
不自然な弓なり機動の後、Gelb1の乗っていた機体が爆発、大なり小なりの鉄くずが黄色く霞がかった空に舞い散る。
≪隊長!・・・落とされた?≫
交戦後わずか数瞬であっという間もなく空の塵となった僚機に、不審と驚愕の声をあげるGelb2。
その後方で、キラリと光るものがあった。
イーグルとは思えない機動で後ろに回り込んだ、夕日で黄色く染まるガルム1の機体だった。機首はすでにこちらに向きなおっている。驚異的な軌道だった。
俺は、その姿を見てヘッドオン寸前だったGelb2の前で思いきり機首を引き揚げ、急上昇をかける。
急激な方向転換に、胸と言わず足と言わず、強力なGが俺の体にのしかかる。俺は歯をくいしばって、操縦桿を引き続ける。
―――頼んだぜ、相棒。
そんな俺を追おうとして背中が丸出しになったGelb2のケツを、サイファーの機銃が蜂の巣にする。
出力の上がらなくなった機体は、黒煙を噴きながら遥か下方の青黒い地面へ吸い込まれていった。
俺は機首を引き戻し、スロットルを絞って巡航速度に戻しながら、口笛を吹く。
≪ナイスキル、相棒≫
―――まさに、一瞬だった。
≪この地区は俺たちが取り戻した!もうベルカのものじゃない≫
民衆の勝利の歓声が聞こえる。
歓喜の鐘の音が聞こえる。
空に拳を突き立て、自由を叫んでいる。
これこそが、俺たちの戦いだった。
日が傾き始めた黄色い空には、薄雲が広がっていた。
ディレクタス5地区の開放。それが今回の任務だった。
首都であるディレクタスを開放すれば、ウスティオは事実上ベルカの支配から開放されたに等しい。
この作戦はそういう意味でも、俺にとっても、―――とても重要な作戦だった。
≪サイファー、作戦は成功する≫
俺は自由への開放の足がかりになるという重要な任務に、隠しても隠し切れない高揚感を感じながら、サイファーに無線でそう語りかけた。
右斜め前を飛ぶあいつの機体が、ここ一ヶ月で見慣れたとおり、左右の主翼を交互に揺らし、更にはくるりと機体を一回転させた。
サイファーも俺と同じようにこの任務の重要性を意識して、いつもの無口に高揚感を少なからず上乗せしているのかもしれない。
そう思うと無愛想な機体が、ほんの少し微笑ましく思えてくるから不思議だ。
この一ヶ月弱、先に挙げた作戦を筆頭として、サイファーと行動する機会が非常に多くなっていた。その中で、俺はだんだんとあいつの力を信じ始めていた。
あいつとならできる。
この戦争を、不当な抑圧を、不毛な争いを、開放に導くことが出来る。
俺は操縦桿を握る手に、改めて力を込め直した。
≪ガルム1、FOX2≫
ガルム1のミサイルに対して、AWACS別名イーグルアイが、こともなげに無線を添えた。
キャノピーのはるか向こうで、黄色い空に光の飛跡をばら撒いていた対空機銃が、パッと土ぼこりをあげて爆散する。
兵装を使用する際には、俺に限らず普通はもちろん自分で言うものなのだが、サイファーは前述の通り、その際にも一切口を開かない。
もしかしたらあまりの無口さに、イーグルアイが見かねて勝手に実況しているのかもしれない。
正直、ガルム隊二番機でもなければ、気付けば戦場のどこかへ無言で舞い降りていってしまうサイファーの軌跡を、目に留めることはなかっただろう。
よほど注意して見ていなければ、俺でさえサイファーについていくのは一苦労だ。
≪第三区を制圧。残り二区≫
AWACSの無線が三区の開放を告げる。
俺の見ていない間に、地上部隊はあらかたサイファーに蹴散らされていた。
レーダーの識別信号からサイファーの居場所をつきとめ、アフターバーナーを使用して飛びぬける間にも、大地穿たれた大穴や、黒煙を挙げて炎上する戦車やSAMが転々と流れていった。
高度を下げて、バーナーを緩めると、キャノピーの外から辛うじて異質な音が聞こえてきた。
≪何だ?なんだあの鐘の音は!≫
混乱に乗じて、敵の無線も飛び込んでくる。
外から聞こえる、教会の塔のてっぺんから聞こえる鈍い音。
―――自由を告げる鐘の音だった。
≪懐かしい音だ≫
恐らくウスティオ兵士の誰かの声だろう。そんな呟きが聞こえる。
≪鐘を鳴らせ!もっと鳴らすんだ!!≫
民衆の歓声が聞こえる。
俺たちは今、真の自由を手にしようとしている。
≪街中に響かせろ!俺達の自由の証だ!≫
≪何が起きているんだ!なんだお前たち、民間人は避難を・・・≫
≪やめろ!≫
≪街を取り戻せ!今こそ立ち上がるんだ!!≫
≪住民が蜂起して暴動を!!≫
悲鳴のようなベルカ軍の無線、そのBGMとなるように民衆の怒りの声、湧き上がる自由への叫びが途切れることなく舞い込んでくる。
≪第4区のベルカ地上部隊を排除!市民が自由の鐘を鳴らしている!≫
≪出て行け、ベルカは出て行っちまえ!!≫
≪ディレクタスの開放だ、万歳、俺たちの街だ!!≫
自由を告げる鐘の音。
自由を手にする民衆の声。
気付けば、サイファーが隣に並んで飛んでいた。
夕日に眩しく光るキャノピー越しには、サイファーがどんな表情をしているか窺い知ることは出来なかった。
あいつの機体は、ベルカ軍の撤退していく方向を真っ直ぐに指して、ただ静かに浮かんでいるように見えた。
とても先ほどの鬼のような活躍をしてみせた機体とは思えないほど、優雅で、綺麗な飛び方だった。
≪こちらイーグルアイ。全区開放されたようだな≫
≪いや・・・待て、警告!警告!敵増援部隊の接近を確認≫
今更かよ?
民衆の鳴らす鐘の音。
喜びの声。舞い散る紙吹雪に、広場にあがる、ベルカの痕跡を拭うための炎。
ここにベルカの航空機がたった二機で戻ってきたからといって、もはやディレクタスの民衆は街を空け渡したりはしないだろう。
―――まあいい。自由を取り戻すための、最後の仕上げとしようか。
≪ここは俺たちで相手しよう≫
俺の静かな無線に、相棒は身震いするように、機体を少し揺すって、迎え撃つべくぐんと高度をあげた。
空の彼方。
大きく盛り上がったコックピット前部にちらりと見えるカナード。
機影は、二機だけだった。
そして、入ってきた無線も、二言だけだった。
≪ゲルプ2。不愉快な鐘の音を止めるぞ≫
≪了解≫
無線の声音からですらはっきり伝わってくるこのもやもやした感情を、俺は知っている。
―――これは、憎しみだ。
シュ
そんな音をたてて、右隣を飛んでいた相棒の機体が浮かび上がる。鋭い機動だった。
放たれる憎しみを余すことなく受け止め、俺達はニ機の正面に立ちはだかる。
―――もう再び奪わせはしない。
サイファーの、固くて鋭い意志が伝わってくるようだった。
そして俺も、同じ気分だった。
≪了解、相棒≫
双方が双方とも、互いに恐れもせずに、アフターバーナーを全開にしてその舳先を付きつけ合う。
相手の座った瞳の奥まで貫けるのではないかと思われるほどのスピードと正確さで、サイファーはGelb1に照準を合わせた。
―――ヘッドオン。
あわやぶつかる、と思った次の瞬間に紙くずのようになって散っていったのは、サイファーとすれ違ったGelb1の機体だけだった。
不自然な弓なり機動の後、Gelb1の乗っていた機体が爆発、大なり小なりの鉄くずが黄色く霞がかった空に舞い散る。
≪隊長!・・・落とされた?≫
交戦後わずか数瞬であっという間もなく空の塵となった僚機に、不審と驚愕の声をあげるGelb2。
その後方で、キラリと光るものがあった。
イーグルとは思えない機動で後ろに回り込んだ、夕日で黄色く染まるガルム1の機体だった。機首はすでにこちらに向きなおっている。驚異的な軌道だった。
俺は、その姿を見てヘッドオン寸前だったGelb2の前で思いきり機首を引き揚げ、急上昇をかける。
急激な方向転換に、胸と言わず足と言わず、強力なGが俺の体にのしかかる。俺は歯をくいしばって、操縦桿を引き続ける。
―――頼んだぜ、相棒。
そんな俺を追おうとして背中が丸出しになったGelb2のケツを、サイファーの機銃が蜂の巣にする。
出力の上がらなくなった機体は、黒煙を噴きながら遥か下方の青黒い地面へ吸い込まれていった。
俺は機首を引き戻し、スロットルを絞って巡航速度に戻しながら、口笛を吹く。
≪ナイスキル、相棒≫
―――まさに、一瞬だった。
≪この地区は俺たちが取り戻した!もうベルカのものじゃない≫
民衆の勝利の歓声が聞こえる。
歓喜の鐘の音が聞こえる。
空に拳を突き立て、自由を叫んでいる。
これこそが、俺たちの戦いだった。
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いらっしゃいませ、ここは円卓で飛ぶことを夢見る、ただのいちエースファンのブログです。管理人はあおはと。
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