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あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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ベルカ絶対防衛戦略空域B7R

 通称 『円卓』

俺達戦闘機乗りに与えられた舞台 
そこには上座も下座もない
条件は皆同じ

所属も階級も関係ない
制空権を巡って
各国のエースが飛び交う場所 

 『生き残れ』


―――それが唯一の交戦規定だった

その作戦は、俺たちガルム隊のみの参加する、エリアB7Rの強行偵察だった。



≪ガルム隊へ。こちらイーグルアイ≫
前回から世話になっている、イーグルアイからの声がヘルメットに響く。
前回に引き続き、今回も相変わらずの仏頂声だった。
その声が事務的な指示を下す。
≪B7Rに進入し、周囲の状況を探れ≫


ウスティオとベルカの国境付近、北緯24°東経235°地点を中心に、隆起地形が円状に広がる、直径400kmの広大な地域―――通称、”円卓”。
その地下には豊富な高山資源が眠っているといわれている。そのため、古の時代から国境線が幾度も引きなおされてきた。

円卓内は電波干渉が激しい。
土地自体が強い磁場を持つため、無線やレーダーはほとんど役に立たない。
撃墜されて運よくベイルアウトしたとしても、救難信号の届く確率は、きわめて低い。手近な基地は数十キロ以上先だ。生存の確率も低い。
その空を飛ぶには、所属も階級も関係ない。
ただ、真に強い者が生き残り、最後までこの”円卓”の空を飛んでいたものが、この空を制する資格を与えられる。

―――まさに、俺たち戦闘機乗りに与えられた舞台。


そんなベルカの空に、俺たちはたった二機で、のこのこ様子を見に来たってわけだ。
俺は皮肉に口を歪ませる。
所属も、階級も、俺たちガルム隊には関係ない。俺たちは、最初からただの戦闘機乗りだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
≪・・・俺たちにお似合いの場所と任務だ≫





そんな円卓の空は青く澄み渡っており、気持ちいいほどに視界が広かった。
右斜め前を飛ぶサイファーは、例によって無言のまま空に浮かんでいる。
そんなときだった。
AWACSから警戒の無線が入る。
≪レーダーに敵性反応。警戒せよ≫
俺たちのレーダーでは磁場も手伝って心もとないが、AWACSのレーダーからは丸見えらしい。
≪くそ≫
俺は誰に言うともなしに呟く。
敵がうろついていることを予想はしていたが、見つからずにかち合わなければいいと思っていたのも事実だ。
だが、撤退命令が出ない以上、こちらが見つかるのも時間の問題だろう。
≪ん?おい≫
敵もボンクラではないらしい。
すぐに俺たちの機影に気付くと、こちらに舳先を向けた。
≪IFFの故障?反応は二つだけだ≫
≪円卓を知らないのか?≫

―――知っているさ。

俺はこれから起こるであろう激戦に身を引き締め、唇を湿らせる。
≪向こうも気付いたようだ≫
自機のレーダーで確認する限り、その機影は片手で数えられる数を軽く超えていた。もしかしたら補足出来ないだけで、その倍以上はいるのかもしれない。
≪ガルム隊、交戦を開始せよ≫
俺は意識せずとも這い登る緊張に、ごくりと唾を飲み込んで、言う。
≪生き残るぞ、ガルム1≫
隣に浮かぶガルム1が、身震いするように軽く両翼を振ってそれに応える。

目視できる前方に、4機の敵機。
その穂先は、全てこちらに向いている。
≪ベルカ空軍の機動を見せてやれ≫
≪機体の性能確認でもさせてもらおうか≫
敵には圧倒的な数の上での余裕があった。のんきなものだ。
サイファーは心もち速度を速め、亜音速ぎりぎりにまで加速する。
俺はその後ろのやや遅れた位置―――援護位置をキープしながら、じっと一番機の挙動を見守る。
サイファーはどうやら敵のど真ん中に突っ込むつもりらしかった。
・・・相変わらずの度胸の持ち主だ。
俺はバイザーの下でにやりと笑うと、その機動に従う。

―――ヘッドオン。

≪ガルム2、FOX2≫
こちらをナメてかかった4機のうち2機は、俺とサイファーのMSSLに撃墜され、もう一機も続くサイファーの射撃を受け、燃える鉄くずとなって空に散っていった。
≪ナイスキル、相棒≫
俺も負けじと操縦桿を勢いよく傾け、残った機体にすれ違いざま機銃を叩き込んでやる。
勢いよく回転する視界の端にチラリと見えた機体は、F-4だった。
≪随分トロい機体に乗ってるじゃないか≫
俺は反転して再び敵に穂先を向けながら呟く。
≪だが円卓の鳥だ。油断はするな≫
相棒がキャノピーの向こうでわかっている、というように翼を振る。
再び穂先を向け合ったF-4をHUD越しに睨みつけ、俺はガンレクティルの照準をじっと合わせる。

―――WANING

分かってる!
俺は再び機体を回転させ、フットペダルを思いっきり蹴飛ばして天地を振り飛ばす。
当たれば一瞬でこの機体を消し炭とするミサイルが、派手な煙を引きながら真横をぶっ飛んでいった。
俺はそのミサイルの先、睨みつけたHUDの向こうで慌てて回避機動を始めるF-4に、高速の鉄の弾をばら撒く。
身をすくめるパイロットの乗る機体の装甲を、着弾の衝撃が跳ね飛ばし、抉り取っていく。
すれ違うのは一瞬だった。
≪ガルム2が敵機撃墜≫
振り返れば、自分の引いた飛行機雲の彼方で、黒い煙を吐き出しながら地面へと吸い込まれていく複数の機体が確認できる。

―――まずは、4機。

俺は再びHDDのレーダースクリーンに注目する。
数の上で圧倒的に不利な俺たちだからこそ、先手を取ることが何よりも重要となってくる。
≪1時方向に敵機。距離、およそ4マイル≫
俺たちの心もとないレーダーに代わってAWACSからの補助が入った。
俺たちはヨーを使って、軌道を若干修正する。
やがて、レーダースクリーンにおぼろげながら4つの機影が映りこみ、しばらくしてHUDにも4つの目標コンテナが表示される。
≪あれもF-4か?≫
≪そうだ≫
俺は兵装を確認し、HUDの目標コンテナを凝視する。
ミサイルの発射ボタンに指をかける。
最も緊張する瞬間。
―――ロックオン。
そして、再びヘッドオンで向き合った俺たちとベルカ軍が、高速で吐き出される炎をぶつけ合いながらすれ違う。
風になぶられ暴れる機体を制御しながら、俺は再び反転をする。サイファーも俺の援護位置につけながら、同じように穂先を返す。
≪ドロセル3とドロセル2がやられた!?≫
≪く・・・、先導隊がやられたのは、事故などではなさそうだ≫
自隊の損害を確認したベルカ機は、今度は俺たちと向かい合おうとはせず、回り込むように機動をそらす。
警告を受けなかったところを見ると、どうやらあちらさんはレーダーに不安があるらしい。
ミサイルを警戒して、ケツにつこうという作戦なのだろう。
サイファーがそれを見て、ヨーを使って緩やかに俺の後ろから離れていった。
(なるほど?)
サイファーのその機動を横目に捕らえながら、俺は俺でF-4Eを追いかけて旋廻を開始する。
程なくして旋廻し終わった俺の目の前にも、真っ直ぐに飛ぶガルム1の姿が映る。
俺はスロットルを引き絞って速度を落としながら、両者からの距離を少し開ける。
サイファーのケツに思惑通りとり付いたF-4E二機は、HUDに映った相棒にロックオンをかける。
サイファーは少し速度をあげ、慌てたようにラダーを動かす。
≪させるか≫
俺も少し速度をあげ、サイファーに食いついた二機を追う。
やがて、ロックが安定したのか、発射を告げる無線が耳に滑り込む。
≪ドロセル1、FOX2≫
その台詞が始まるか始まらないか―――その際どい瞬間に、遥か彼方でガルム1の羽がひらりと翻る。
≪―――あッ!?≫
そう敵が気付いたときにはもう遅い。
木の葉のように敵の後ろに吸い付いたサイファーが、その機体に機銃を撃ちながらMSSLを発射する。
空しく虚空にミサイルを発射させたF-4Eが、空の藻屑となって散っていった。
その機動を見たもう一機は、とっさに後ろを取られまいとして急激に速度を落とす。
俺は待ち構えていた通り目の前に舞い込んできたF-4に向かって、おもむろに機銃のトリガーを引いた。
全ての鉄の弾を余さずその機体にめり込ませたF-4が、パイロットにイジェクトする間も与えず炎に包まれながら爆発、四散する。
再び編隊のポジションを取り直した俺たちの前方を、煙を引いたミサイルだけがただ空しく空を駆けていった。
≪やるな、相棒≫
俺は唇を吊り上げながら、そう告げる。
なかなかの腕前だ。
だが、そんな余韻に浸る暇なく、前方に新たな機影が迫る。
見計らったように再びイーグルアイの事務的な無線が入る。
≪前方に敵機。距離、約2マイル。高度600、数、4。機影からすれば、恐らくMiG-21だ。≫
全く、いつかはAWACS並のレーダーがこの機体にもつけれるようになって欲しいもんだ。―――そうすれば、こんな緊迫した思いで機体に乗り込まなくても済む。
俺は、眼下に広がるアナログ計器を恨めしい気持ちでざっと見回し、そんなことを考える。レーダースクリーンは、相変わらず薄汚れた緑色を映し出していた。
≪片羽の赤い奴・・・≫
そんな俺の耳に、誰かの無線がポツリと呟く。
≪前に噂を聞いたことがある≫
こんな晴れ舞台で噂をしてもらえるとは、俺もつくづく有名人になったものだ。
≪だが、ここの制空権を渡すわけにはいかん≫
その言葉を聞き、俺は再び気合を入れなおす。
≪慎重に、大胆に行こう≫
相棒は再び俺の右斜め前で翼を振ると、加速しつつ、高度を落とし始めた。
俺も一瞬遅れてその後に続く。
少し機影の小さくなった相棒は、一足先に飛来したベルカ機とコンタクトする。
俺の見ている目の前でその腹から4機のAAMが零れ落ち、音速を超えた機体を追い越して敵機に猛然と向かっていく。
機体の勢いと、ロケットの推進力を足された小さな鉄の塊が、矢となって4つの機体に突き刺さった。
俺は破片や機体にぶつからないように高度を上げながら、やや遅れてその空を飛びぬける。
―――誰一人として脱出したものは見あたらなかった。
サイファーは、何事もなかったかのようにまた俺の右斜め前に戻ってきて、その羽を並べる。
そんな俺たちに、イーグルアイの無愛想な無線が再び響く。
≪ガルム隊へ告ぐ。空域B7Rに侵入しろ≫
イーグルアイの仏頂声にはもう慣れたが、もう少し愛想というものを学んで欲しいものだ。

巡航速度のまままっすぐに進んでいると、やがて延々と連なる赤茶色の山々が流れ始める。
≪目の前に広がる山脈が円卓・・・≫
噂には聞いていたが、こんな場所だったのか。
俺は、あるパイロットが書いた自伝の一文を思い出して、思わず首を伸ばして景色を見つめる。





制空権を巡って各国のエースが飛び交う場所。

   "生き残れ"

―――それが唯一の交戦規定だった。





≪警告!≫
柄にもなく景色に没頭していた俺のヘルメットに、イーグルアイの鋭い声が突き刺さる。
俺は慌てて首を引き戻し、計器に向き直った。
―――どうも自覚が足りなくていけない。
今の様を相棒が見てなかったことを祈りたい。
≪エリアB7Rに高速で侵入する機影、新たに捕捉≫
≪ガルム2から1へ。敵の増援、おそらく本体だ≫
俺は気分を入れ替える。
生きて帰れば、本など存分に読める。そのときにまたこの光景を思い出せばいい。

そんな俺たちの耳に、流暢な発音のベルカの無線が舞い込んだ。

≪ロト1より各機。野犬狩りだ。―――全機落とすぞ≫
















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