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あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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≪『核査察』とは笑わせてくれる≫

ディレクタスの開放から四日。
吹雪の荒れ狂う巨大な遺跡要塞、グラティサントを目下に近づけながら、俺は皮肉を込めて鼻で笑った。
首都開放に続く、本作戦の趣旨はこうだ。

”ベルカによる核兵器、及び大量報復兵器V2の開発計画が明らかになった
連合軍首脳部は、核兵器査察と資源権益確保を確約するため
ハードリアン・ラインを越境。ベルカ国内への進軍を決定した”


核査察だと?
本当の目的は、資源権益確保のほうだろう?
連合軍という集団が行う、欲望という力の暴力。
ウスティオ開放という名目はとっくに果たされ、争いの終わりは目前だというのに。
なぜすすんで争いを求める?

≪・・・気に入らない≫

その無線が聞こえているのかどうなのか、斜め前の両翼が紺色にペイントされたイーグルは、ロケットよろしく芸のない真っ直ぐな飛行をしているだけで、無反応だった。
任務は忠実に遂行するサイファーのことだ、俺のように気に入らない部分があったとしても、おくびにも出さないんだろう。
俺は軽くため息をついて、一番機に従った。


グラティサントは、自然の遺跡を利用した要塞だとは聞いていたが、これほどまでに攻略しにくい戦線だとは、さすがの俺でも想像に及ばなかった。
遺跡の横穴に対空機銃やSAMを埋め込み、先っぽだけを山の外に出す。
奴らの攻撃は当たるが、こちらのミサイルでの攻撃では、ロックオンが横穴のなかにずれてしまうため、致命打を与えることが出来ない。
かといって近づいて機銃を撃てば、たちまちにして蜂の巣にされる。
厄介な要塞である。

サイファーなら、どう飛ぶ?
そう思って空を見上げると、遥か上空に両翼が紺色にペイントされた見慣れた機体が浮かんでた。
速度も巡航速度程度で、アフターバーナーを使用している風でもない。
俺は翼を振って高度をあげ、その隣に浮かぶ。

≪よう相棒、眺めはどうだ?≫

俺の冷やかしに、サイファーは軽く両翼を振って答えた。
つられて俺も前方を見渡すが、一面の雪、遠くまで紺色に薄雲った視界、雪に混じってばら撒かれる対空機銃の光の軌跡以外は、いくら目を凝らそうとも何も見えない。
俺の中でサイファーという人物像に、ますます奇人要素がプラスされてきた。

≪気を抜くと打ち落とされるぞ≫

だが、サイファーが作戦空域に急ぐ様子は微塵もない。
エンジンも最低出力なんじゃないだろうか。
もしかしたら、サイファーもこの作戦に乗り気でないのかもしれない。
俺はサイファーの中に俺に似ている部分を見つけ、何故かほんの少し、安堵した。

≪雪か・・・≫

そういえば、サイファーと初めて組んだときも、雪だった。
雪山でベイルアウトは悲惨だ、そのときもそう思った記憶がある。
そして今は、戦況が変わった。追われる側から、追いたてる側へ。
―――今日もまた、雪が降っている。
そんな思考を妨げるように、AWACSの無機質な無線がヘルメットに響く。

≪ガルム隊へ告ぐ≫
≪作戦空域へ進入せよ≫

俺は肩をすくめてみせる。

≪イーグルアイがお怒りだ。いくぞ、サイファー≫



乗り気でないとはいえ、サイファーの腕はやはり見事なものだった。
特殊兵装、機銃、ミサイル、全ての兵装を適宜上手く使いこなし、敵を無力化していく。
俺が心配するまでもなく、あいつの翼にはミサイルはおろか、機銃ですら、かすりもしなかった。

≪敵勢力の40%を制圧。ガルム隊に続け≫

まだ40%か。
いつもよりも気だるいコックピットの中で、俺はため息をついた。
見やると、ガルム1も退屈そうにくるくると翼を回していた。
すると突然、何を思ったのか、ガルム1が大きく右旋回し、基地へ向かってUターンをしだした。
俺も後を追いながら、返事は返ってこないと解っていながらも無線で話しかける。

≪ガルム1、機器の不調か?≫

すると、本日始めてアフターバーナーを使用して前を飛ぶ機体が、続けざまに二回くるん、くるんと翼をひねった。
雪を巻き込んで、飛行機雲がスッっと螺旋を描く。
まるで妖精のように優雅で、洒落た飛び方だった。
おいおい、俺のコードネームだぞ。
ふと出た発想が妙にハマってしまい、俺は独りで密かにウケながら、基地へと帰還した。



着陸した自機のキャノピーを全開にし、俺はコックピットから飛び降りる。
なんだかエアコンが効くとはいえ、むさ苦しいコックピットの空気と違って、外の空気は冷たいながらに新鮮だった。
駆け寄ってくる整備班に整備を適当に任せ、俺はぶらぶらとサイファーの機体を見に出かけた。
自分と同じ仕様の機体ながら、いつしか俺はその姿に惹かれていたように思う。

サイファーは、すぐに見つかった。
自分のイーグルの前で搭乗用の梯子に座ったまま、整備班そっちのけで愛機のボディを見ていたからだ。
「よう相棒」
すれ違う整備班がなんともいえない顔をして、ぶらぶらとやってきた俺とサイファーの顔を見比べながら走り去っていく。
サイファーはこちらに振り向きもしないまま、愛機のボディーを皮手袋をはめた指でそっとなぞっていた。
後から考えてみると、空の上以外で直接会う、数少ない機会だった。

いつもどおり反応が薄いので、俺は横に回りこんで相棒の愛機をまじまじと見て回った。
仕様どおり。特に変わったところは見られない。
だが、ボディの表面に多少の傷こそあるものの、張り替えたり塗装しなおしたりした跡のない、綺麗な肌をしていた。よほど丁寧に扱っているのだろう。
薄汚れて不精ひげの生えた俺の機体とは大違いだ。
ふと思い出して機首の下を通ってサイファーの側にひょっこり頭を出すと、サイファーは先ほど撫でていたところを眺めながらシガーをふかしているところだった。強い香りが鼻腔を刺激する。
その視線につられるようにしてボディを見やると、なるほど、よーく見ると、銃弾がかすったような、少し黒いラインが見える・・・ような気がする。
「呆れるほど愛妻家だな、相棒」
すると、空の上ではいつも喋らず、ブリーフィング中もにこりとも笑わないサイファーが、こちらを振り返って初めてにっこりと笑った。
明るめのアッシュブロンドを短めに刈り上げた髪に、少し灰色がかった瞳。
人種、年齢をぱっと見て当てることの出来ない曖昧さのある顔が、今は少年のように無邪気な笑顔になっていた。

「よう相棒、話せない朴念仁でもあるまいに、お前なんでいつもそんなに無口なんだ?」
いい加減整備兵から追い払われた俺達は、頭半分ほどの高さを違えて歩きながら、お互い何の気なしに滑走路を眺めていた。
するとサイファーは故意に火の消えたシガーを指に挟んで、俺のほうを見やった。
先ほどの無邪気な笑顔は消えてしまっていたが、口の重さとは裏腹に、敵意や固さを感じさせるような表情ではなかった。
どちらかといえば、灰色の柔らかさをもつ表情。
サイファーは軽い沈黙を挟んだ後、シガーをつまんだままの右手で、ハイネックで隠れている喉を軽くトントン、と指して見せた。
「・・・喉が悪いのか。―――そいつは悪いことを聞いたな」
サイファーがシガーを咥える。火はつけないつもりのようだ。
その眼の前を、今しがた帰ってきたばかりのF-20、F-16らが滑走路をのろのろと横切っていく。
そのうちの一人がキャノピーを全開にして、こちらに手を振りながら叫んだ。
「ようサイファー、ピクシー!お前らに付いてきたら、また基地に戻ってきちまったぜ!」
そう笑いながら3,4機の機体が滑走路脇へと逸れていく。
俺はイーグルアイの無線を思い出して、吹き出したいのをこらえながら訊いた。
「よう相棒、確信犯か?」
サイファーの咥えたシガーの先っぽが、その口端と入れ違いにくいっと下がった。
その灰色の眼は、どこまでも続く灰色の空の遥か先を、ただまっすぐに見つめているように見えた。



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