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あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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≪沈黙の片羽≫
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エースコンバットの世界で
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REVEAL ONE
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任務を終えてヴァレー空軍基地に帰還すると、いつもの滑走路が少し賑やかだった。

先に着陸したサイファーが、格納庫までの道のりを余所見をしながら通り抜ける。
俺たちの格納庫の丁度反対側の格納庫が、なにやら賑やかだった。
(誰かに新しい機体でもきたのか?)
俺もそれをぼんやり眺めながら、格納庫前でエンジンを停止させる。
「お疲れ様でした!」
キャノピーを開け放つと同時に声をかけられ、すぐに整備兵がラダーを横付けしてくれる。
コクピットから乗り出してその声の主の顔を見やってみれば、なにやら見覚えのある顔である。
栗毛の髪に、少し幼さの残る顔立ち。背は俺よりやや低いくらいか。ブルーグレイのつなぎの下にハイネックの中着を着込み、頭にはきっちりと正規軍のものである帽子を被っている。階級は伍長。
―――たしか―――
「ロルフ・・・伍長だっけか」
すると、ロルフ少年は何故かばぁーっと顔を赤くし、「恐縮です!」と俺に向かって敬礼を放つ。
・・・放たれるほど偉い存在じゃないんだが。
「その節は、大変失礼をいたしました!」
俺は記憶を手繰り寄せて思い出してみる。
そういえば、たしかに初対面で怒鳴られたな。
俺は出来るだけ柔らかな微笑を作りながら、さらりと返す。
「その節は気合の入った喝を有難う」
すると少年は泣きそうな顔になって必死に弁解を始める。
「すみません、僕が未熟だったんです、ついカッっとなってしまって、その、お二人がこんな凄い方とは夢にも思わず・・・」
・・・さり気に毒が入っているのはきっと気のせいだろう。だと思う。
そんな今にも泣き出しそうな少年とヘルメットを抱えた俺の間に、年のころ50歳ほどの中年男性が割り込む。
「フォルク少尉、お手柔らかに頼むよ。これでもこの殺伐とした戦場の紅一点なんだ」
「えっ?」
俺はついいぶかしげな表情になってロルフ伍長を振り返り、思いっきり凝視してしまう。
女の子?
男は顎から耳に生やした髭を震わしながらはっはと笑う。
そしてまだ半信半疑な俺の背中を叩き、真顔になって言う。
「冗談だよ」
そのときの俺の表情は、―――筆舌に尽くしがたい。

飛行後の機器チェックの問診―――もちろん壊した尾翼の修理も頼んだ―――を受けながら、俺は気になっていた向かいの様子を尋ねてみることにした。
「ところで向かいはなにやら賑やかなようだが―――何かあったのか?」
すると、問診表を作成していた中年の男性、ジョセフが上の空で答える。
「新しい傭兵どもが来たのさ。ハロルド少佐の胃薬が増えそうな連中さ」
「・・・へえ」
俺は胃薬の原因を思い浮かべて、生返事を返す。
たぶん、俺だけじゃなく、むしろあいつ―――アッシュブロンドの髪の、無口な男―――のことだと思う。
・・・イーグルアイも運の悪い男だ。
俺は他人事のように受け流すことにした。俺には胃薬はいらない。



基地建物内に戻ると、早速デブリーフィングがある。
今回は俺たちと、イーグルアイのみの作戦であったため、情報士官を除いた参加人員は、俺たちガルム隊と、イーグルアイしかいない―――はずだった。
そこに、見慣れない三人の顔ぶれが並んでいる。
そんな三人をわざと見ないようにしているのか、イーグルアイ―――ハロルド少佐は資料とスクリーンを往復しながら、淡々とデブリーフィングを進めていく。
その締めに基地司令官であるハーゲン・キルヒアイス大佐が出てきて、お褒めの言葉を付け足していく。
「よくやった。タイフーンによって編成された敵精鋭部隊を殲滅した戦果は、作戦指令本部にも十分伝えておく。」
・・・そりゃどーも。
「それと、もうひとつ伝えることがある。」
その横で、ハロルド少佐の顔が、氷水にでも浸かったようにさっとこわばらせる。
ついに来たか、そんな表情だった。
司令官殿は俺たちの後ろに座っていた三人の男を前まで呼ぶと、簡単に紹介をする。
「本日付で新しく第6航空師団に所属することになった、ブルーレイ隊の3人だ。隊長が一番左、パブロ・マストローニ少尉、二番機がカルロス・バルデラマ少尉、三番機がジュン・イkgm少尉だ。以後、宜しくやってくれ。」
ここで、解散となり、俺はおもむろに席を立つ。
三人はハロルド少佐のところへ向かうと、宜しく、と手を差し伸べる。
彼は尖った視線を彼ら―――そして彼ら越しに俺たちに向けていたが、ややあって難い表情のまま、「宜しく」と一言呟いて、握手を返す。
そして次に俺たちの方を指して言う。
「彼らは66飛行隊に所属しているガルム隊のパイロットたちだ。今後、共同作戦の予定もあるだろう。・・・是非宜しくやってくれ。」
そういって、帽子を被りなおし、ブリーフィング室を出て行く。
相変わらず、傭兵が嫌いのようだ。
彼らは次に俺たちのところへやってくると、同様に握手を求めた。
俺は一瞬その手を眺めて躊躇したものの、結局握手を返した。
サイファーはその後ろで椅子に座ったままそれを眺めているだけで、出てきて親睦を深めようとはしなかった。
「俺はピクシー、後ろの無愛想なのはサイファーだ。一応あっちが隊長だ。」
「つれないねえ、俺のことはリンクマンって呼んでくれ。」
そう言って、金髪で背が高いその男はニッコリ笑う。やや灰色がかった青い瞳が特徴的な男だった。
やや馴れ馴れしい感じのする男だったが、傭兵にはよくいるタイプだ。
「俺はカルロスだ。・・・ピーペって呼んでくれ」
こちらの男はこげ茶色の髪に黒い瞳をしており、体格ががっしりしていた。控えめなスマイルから連想するに、リンクマンほどは軽くないのだろう。
そして、三人目を二人が振り返る。
三人目は、身長が170ほどしかない、小柄な人物だった。
漆黒の黒髪に、茶色い瞳。白というよりは、黄土色の肌をしていた。東洋人か。
「イケガミ・ジュンです。呼びにくいでしょうから、ユーニと呼んでください。宜しく」
そういって彼はニッコリ笑い、右手を差し出してくる。
俺はつられて握手をし返すが、その手は女性のように細かった。年のころはどうみても16,7歳。
こんなヤツがパイロットで大丈夫なのか?
そんな疑念が伝わったのか、ジュン少尉、もといユーニが、明るい笑顔のまま補足する。
「僕は東の方から来たんですが、一応成人ですよ。トシは25、一応オトコです」
それを聞いて、他の隊員二人がぶひゃらと笑い転げる。
「あーもう、笑わない!そんなにおかしい!?デカけりゃいいってもんじゃないでしょが!」
そんな俺たちを尻目に、サイファーがこっそり後ろから出て行くのが見えた。
「・・・アンタのとこの隊長さんは人付き合いが悪いな」
それを見て、まだ笑いの収まらないリンクマンとやらが、涙目で呆れたように肩をすくめる。
「ああいう奴なんだ。あれでも腕は悪くない。ほっといてやってくれ」
俺は首を振ってサイファーの出て行った扉をさし、諦めの入った口調で言う。
出会ってからつくづく痛感しているが、奴は本当に、マイペースな奴だった。
「まぁ今夜はもう何もないんだろ?色々話を聞かせてくれよ」
そういって、リンクマンは飲むようなしぐさをする。
「・・・いいぜ」
俺は苦笑しながら、頷いた。


その夜、新入り三人を向かえ、遅くまで傭兵仲間たちは飲み明かした。
俺もいささか飲みすぎた感がするほど飲んでしまい、寄宿舎の自分の部屋に帰る途中、ふらりとロビーに腰を下ろしてしまう。
さすがに、飲み過ぎたか。
だが、飲み終わったあとに反省しようが、毎度のことであるが―――後の祭りだ。
そんな俺の視界に、ふと一冊の雑誌が目に入る。
その雑誌は誰かが読んでいたらしく、雑誌棚に片付けるときに片付け損ねたのか、あるページが開かれたまま床に落ちていた。
そこに映っていたのは、機種が赤くペイントされた、グレイのタイフーン。間違いない、今日俺たちが撃墜してきたベルカの戦闘機。
”ロト隊―――赤いツバメ”
そこには、夕日の中編隊飛行をする4機のタイフーンと、赤いツバメが紋章の上に気取った格好でとまっているエンブレムが書かれ、ベルカへ向けての戦意高揚の言葉がつらつらと書かれていた。表紙を見てみる。
”MAGAZINE BELKAN FLIEGER”
ベルカの戦力自慢雑誌だった。くだらない。
俺は再び床に雑誌を戻すと、ふらふらとロビーから出て行った。



翌日、いつもより寝坊しながらも朝のうちに起きた俺は、やや遅れながらも人で一杯の配給室に入っていった。
そしてむかむかする胃に、適当に朝ごはんを放り込む。
「ようピクシー!」
俺は飲み込みかけていたミルクを噴き出しそうになった。
「昨日はよく眠れたか?今朝も元気そうだな!」
「・・・・お蔭様で」
その男は俺の無遠慮な視線をものともせず、前の席をぶんどって座る。・・・例のリンクマンだ。その隣と、俺の隣にそれぞれピーペとユーニが座る。
そんな俺に、リンクマンは当然といった笑顔で質問を投げかける。
「相棒は一緒じゃないのか?」
「・・・四六時中一緒じゃなきゃいけないのか?」
「いやそんなことはないが。仲悪いなあお前ら」
ほっとけ。
俺は黙々とパンやミルクを平らげると、早々に席を立った。
「ごちそう様。またな」
後ろで何か言っていた気がするが、俺は食事時の喧騒で聞こえないふりをして、ホールを出た。

その帰り途中に、掲示物を見るために1階ホールに向かっていると、階段の辺りから聞きなれた声が誰かと問答しているのが聞こえてきた。
「彼らは今ウスティオ一番活躍してるって話ですよ。どうですか、”AIR USTIO”の表紙を彼らで・・・」
「そんな人間はいない。お帰り願おう」
・・・イーグルアイ、ことハロルド少佐だった。
「でも現に空を飛んでいるじゃないですか。ウスティオの士気高揚になりますよ。一枚だけでいいんです」
「・・・・・自主的にお帰り頂けるうちに、お帰り願おう」
「・・・」
そこで会話は終了になったらしい。
ハロルド少佐はどこかへと去り、カメラマンらしき男性は、1階に下りてきた。
「ちぇ、石頭が」
俺は生暖かい目でそいつを見送ると、止めていた足を再び動かす。
たしかに、ウスティオの危機を救ったのが、どっからきたかもわからん傭兵です、では、国家としてのメンツも立たまい。
そんなことが雑誌に載り、これ以上傭兵に付け上がられるようなことになっては、ハロルド少佐はもちろんのこと、上の面々も面白くはないだろう。
今回の採用は、恐らく―――俺たちの後釜にもっと扱いやすそうな傭兵を探してきたつもりなんだろうが、残念ながら俺たちは生き残ってしまった。
―――まったく、ややこしい業界だ。


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