あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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エースコンバットZEROの読み物。
ベルカ戦争を駆け抜けた鬼神の姿を、登場人物の視点から振り返る
エースコンバットの世界で
2005年時点の読み物。
ブレット・トンプソンがヒロインの物語。
エースコンバットの短編ら
ジャンルは特に指定なし。
1Pで収まる文字ものたちです。
◆我が家のキャラクター紹介◆
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加筆修正MEMO
2009/06/23-------
カテゴリー「コラム?語り」を「コラム・ネタ・語り」に変更
2008/08/22-------
ACEたちの欠片に前からあったのを追加
2008/08/08-------
ACEたちの欠片に一文
2008/07/14-------
機体操作・小ネタ集に
当たり判定追加
2008/07/11-------
我が家のキャラクター紹介に
大量追加
2008/06/18-------
人物をラクガキするに
5~10点追加
2008/06/10-------
THE GAUNTLET #5に
現在の記録SS追加
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目の前の”片羽”は、俯いて肩を震わしていた。
泣いている?
――いや、笑っている。
泣いている?
――いや、笑っている。
彼は自動小銃に寄りかかり、最高のジョークを聞いたかのように笑い狂っていた。
「おいシモン、聞いたか。――コイツは本物の”肝っ玉”だぞ!」
話を振られたシモンも、きょとんとした顔で私の顔を見返す。
実際に”鬼神”に会った事のない私たちには、理解できないジョークだったのかもしれない。
それとも、彼の中の何かに触れてしまったのか。
いずれにしても、それは私たちに理解できることではなさそうだ。
”片羽”は笑いの収まらない腹筋を震わせながら、目尻を軽く拭う。
「ああ、すまない。つい可笑しくてな・・・」
私は少し憮然として問い返す。
「何か気に障ることでも?・・・」
「いいや」
彼は改めて心なしか少し柔らかくなった表情で、私の顔をみやる。
「あいつには、俺たちが背負うような信念、正規兵が背負って飛ぶ国家、飛び方の伝統、戦い方におけるプライド、・・・何もなかった。敵、目標、思想、プライド、国家、信念、伝統――そう、触れるもの全てを破壊していく、まさに”鬼神”だったんだ。」
彼は軽く銃を弄びながら続ける。
「そして、そのことにも拘らなかった。だからなんだろうな――あいつが触れていったものは、全て壊れていった。いいものも、悪いものも。」
彼はほろ苦い笑いを頬に浮かべ、言葉を選ぶように付け足した。
「・・・アンタが変わったのも、きっと奴の見えない呪いが、何かを壊していったからなんだろう」
私は、彼が言わんとしていることを理解しかけていた。
今までの私は、こんなに精力的に取材に取り組んだことはなかった。
私が取材したような人物たちも、おそらくは彼に会うまでは、私と同じように生きていた。
それは、良い意味で保守的で、悪い意味で大人だった。
だが、”鬼神”は、そんな私たちの持つものを、あらゆる意味で、全て壊していった。
彼らや”片羽”にとっては、”鬼神”は悪いものを壊してくれた”鬼”だったのだろう。
――そして、それは私にとっても同じだった。
つまり、”片羽”からしてみれば、壊されたこと自体が可笑しく、そして――嬉しいことだったのだろう。
そんなピクシーに向かって、シモンが驚いたように身を乗り出して言う。
「お前・・・元は戦闘機乗りだったのか。」
「昔の話さ」
「聞く限りじゃ腕もよさそうだし・・・ISAFに志願して乗ればよかったじゃないか」
すると”片羽”は苦笑とも苦渋とも似つかない表情を浮かべ、首を軽く横に振った。
「もう空には上がらないと誓ったんだ。」
「・・・何故?」
”片羽”は彼のその問いに軽く沈黙を挟み、答える。
「・・・空は、高すぎるんだ。乗る者に大地を忘れさせてしまう。」
恐らく、彼は自分の過去を繰り返すまいとして、空に上がることを封印した。それは、苦い反省から出た彼なりのの答だったのだろう。
――それはそれで、ひとつの答えなのかもしれない。
私はそろそろ、核心を切り出すことにした。
今回の旅の目的――そして、私を突き動かした最もコアな部分を担う謎。
「”国境無き世界”――あなたは何故、そこに加担し・・・」
言葉を耳にする”片羽”の視線が鋭くなる。
そう、これこそが、私の”鬼神”像の最大の謎だった。
「何故――鬼神はそれを止めたのです?」
彼は、質問を受けてから暫く手先で小銃を弄っていた。その瞳は空ろで、床の一点を意味もなく見つめ続けている。
やがて彼は苦々しく笑うと、やっとその顔を上げた。
「・・・あいつが何を考えていたか――分かる人間が居るなら、是が非でも紹介してほしい」
私とシモンは、黙ってその言葉を受け止める。
「そうだな――・・・」
彼は大きく、大きく息を吐いて、その長い言葉をひとつづつ、かみ締めるように語っていった。
「俺はあの時――この世界をこの手で変えれると、本気で思っていた。」
変えたあとの世界はどうなるかわからない。
だけど、可能性を与えることは出来ると思っていたんだ。
だが――
そんな俺に、あいつ――鬼神が俺に言ったんだ。
”死んでもいいと思ってるだろう”
”本当にお前の望む世界を変えたいと思うなら――生き残れ、相棒”
・・・目から鱗の気分だった。
傭兵にとって最大の裏切りは――共に戦い、背中を預けたものを騙すこと。
戦場の中では、小さな信頼が、全てなんだ。
”あいつなら必ずやる”
その信頼が、全てなんだ。信じてるから、自分の役割を全うできる。
そのときの俺には、V2を守ることが全てだった。それで世界を変えれると信じたんだ。
そして同時に、”あの”メンバーからの信頼も背負っていた。
でも俺自身――本当は、半信半疑だったのかもしれないな。
ただ、哀しくて、己の存在が空しくて――可能性を作り出す礎になりたいと考えた。ただ、それだけだったんだ。俺は死んでもよかった。
俺の望んだ世界に世界が姿を変えるなら――・・・
だが、計画は失敗した。
相棒に撃ち落とされ、輝く空を見ながら――俺は少し安心していたよ。
あいつの守る世界が勝ったんだ、あいつの望む世界が続いていく。
・・・やがて降下した地点から捜索の目を逃れるために、俺は逃げに逃げ――
痛む体でたどり着いた場所は、核の爆心地だった。
――・・・
誰も、いなかった。
何も、なかった。
風の音もない。
虫の声もしない。
葉擦れの音も――
鳥の声も――
何もなかった。
静かだったよ・・・
俺が作り出そうとしていた世界は、これだったんだな。
情けない話だが、降り立って初めて気付いたよ。
そこには争いもない。
国境線も、人がいないのだからあるはずがない。
だが、次に続くものも――何もない。
・・・俺は、何かを間違ったことを悟り始めていた。
大空から世界を見下ろすことで、自分の歩んでいた大地のことを、いつの間にか忘れてしまっていたんだな。
今更、涙が出た。
今度こそ、もうここで死んでもいいと思ったよ。
――だが、倒れて意識を失った俺を、運よく近くの人間が助けてくれた。
こんな場所でも、力強く生きていく人がいたんだ。
俺は、俺のしたことは、こんな風に力強く生きていける人たちを、丸ごと消してしまうことだったんだ。
そのときは、まるで神様か何かのように世界をこの手で変えることが出来ると、信じ、変えたいと願ってしまったんだ。
・・・俺も、彼らと同じ『人間』だったのにな。
介抱されて、生きながらえながら――いつのまにか、俺の中の考えは変わっていた。
死んでもいいと思っていたはずだった。
だが、――不思議なことに――そのときはもう、そんな気分はすっかり抜けて無くなっていたんだ。
相棒の守ったこの世界、相棒が信じたものを、もう少し見守っていたくなっていた。
そして俺自身も――もう少し生きて、答えを探したくなっていた。
そこでピクシーは、一息つくように、ため息を漏らす。
「・・・世界を変えるのは、兵器や、一部の政治じゃないんだろうな。」
そして床を眺めたままだった視線を、やっと私たちのほうへ持ち上げる。
「相棒は、俺を信じた。・・・分かり合えることじゃない、俺の望む世界を信じてくれたんだ。」
その瞳は、私が最初に魅込まれた、その光を放っていた。
「年の功ってヤツかな。・・・あいつは俺の取った方法では、望む世界を得られないことを教えてくれた。だから、止めてくれた。――それでよかったんだ。俺は、後悔するチャンスを失うとこだった。あいつがいてくれて、よかったんだ。」
それが、”鬼神”に壊された”片羽”なのだろう。
彼は、信念を壊し、後悔を与えていった。
だが、それは――
私は目の前のピクシーに、意図せず浮かんだ微笑みを向ける。
”鬼神”が居たから、世界は変わらなかった。
”鬼神”が居たから、”片羽の妖精”――ラリー・フォルクは変わった。
そして目の前の彼は、それを楽しんでいる。
私も、その変化を楽しんでいる。
そう、それが答えだった。
”――それでよかったんだ”
”片羽”の言葉が蘇る。
探していたひとつの答えが、目の前にあった。
・・・私は、腰掛けていたキャリーバックから立ち上がった。
「もしよければ、今の全てでなくてもいいんです。番組用に、見つけた答えのメッセージをもらえませんか?」
ピクシーは片頬を持ち上げ、頷く。
私は、カメラを回した。
”片羽”は覚悟を固めるように床に首を向けてから、顔を上げ、言葉を紡ぎだす。
――俺は死ぬはずだった。
でも死ねなかった。
痛む体を引きずってたどり着いた場所は、あの核の爆心地だったんだ。
・・・何も無い光景
それがなんだか悲しくてしょうがなかった。
でも、そこで強く生きる人々がいた。
――俺は、彼らに助けられたんだ。
・・・世界に境目なんて、必要ないかもしれない。
でも無くすだけで変わるんだろうか?
世界を変えるのは人を信じる力なんだろうな。
信じ合えば憎悪は生まれない。
――でも、それが出来ないのも人だ。
俺はまだ戦場に居る。国境の近くだ。
確かめたいんだ、国境の意味を――。
そして、そこで生きる人々の意志を。
ここに答えなど無いのかもしれない。
・・・でも、探したいんだ。
そう、今はそう思う。
――それでいいと思う。
そこで、彼はカメラを回す私に目をむけ、おどけたように言う。
「この映像はあいつも見るのか?会ったら伝えてくれ」
「・・・ありがとう、戦友。
またな。」
「おいシモン、聞いたか。――コイツは本物の”肝っ玉”だぞ!」
話を振られたシモンも、きょとんとした顔で私の顔を見返す。
実際に”鬼神”に会った事のない私たちには、理解できないジョークだったのかもしれない。
それとも、彼の中の何かに触れてしまったのか。
いずれにしても、それは私たちに理解できることではなさそうだ。
”片羽”は笑いの収まらない腹筋を震わせながら、目尻を軽く拭う。
「ああ、すまない。つい可笑しくてな・・・」
私は少し憮然として問い返す。
「何か気に障ることでも?・・・」
「いいや」
彼は改めて心なしか少し柔らかくなった表情で、私の顔をみやる。
「あいつには、俺たちが背負うような信念、正規兵が背負って飛ぶ国家、飛び方の伝統、戦い方におけるプライド、・・・何もなかった。敵、目標、思想、プライド、国家、信念、伝統――そう、触れるもの全てを破壊していく、まさに”鬼神”だったんだ。」
彼は軽く銃を弄びながら続ける。
「そして、そのことにも拘らなかった。だからなんだろうな――あいつが触れていったものは、全て壊れていった。いいものも、悪いものも。」
彼はほろ苦い笑いを頬に浮かべ、言葉を選ぶように付け足した。
「・・・アンタが変わったのも、きっと奴の見えない呪いが、何かを壊していったからなんだろう」
私は、彼が言わんとしていることを理解しかけていた。
今までの私は、こんなに精力的に取材に取り組んだことはなかった。
私が取材したような人物たちも、おそらくは彼に会うまでは、私と同じように生きていた。
それは、良い意味で保守的で、悪い意味で大人だった。
だが、”鬼神”は、そんな私たちの持つものを、あらゆる意味で、全て壊していった。
彼らや”片羽”にとっては、”鬼神”は悪いものを壊してくれた”鬼”だったのだろう。
――そして、それは私にとっても同じだった。
つまり、”片羽”からしてみれば、壊されたこと自体が可笑しく、そして――嬉しいことだったのだろう。
そんなピクシーに向かって、シモンが驚いたように身を乗り出して言う。
「お前・・・元は戦闘機乗りだったのか。」
「昔の話さ」
「聞く限りじゃ腕もよさそうだし・・・ISAFに志願して乗ればよかったじゃないか」
すると”片羽”は苦笑とも苦渋とも似つかない表情を浮かべ、首を軽く横に振った。
「もう空には上がらないと誓ったんだ。」
「・・・何故?」
”片羽”は彼のその問いに軽く沈黙を挟み、答える。
「・・・空は、高すぎるんだ。乗る者に大地を忘れさせてしまう。」
恐らく、彼は自分の過去を繰り返すまいとして、空に上がることを封印した。それは、苦い反省から出た彼なりのの答だったのだろう。
――それはそれで、ひとつの答えなのかもしれない。
私はそろそろ、核心を切り出すことにした。
今回の旅の目的――そして、私を突き動かした最もコアな部分を担う謎。
「”国境無き世界”――あなたは何故、そこに加担し・・・」
言葉を耳にする”片羽”の視線が鋭くなる。
そう、これこそが、私の”鬼神”像の最大の謎だった。
「何故――鬼神はそれを止めたのです?」
彼は、質問を受けてから暫く手先で小銃を弄っていた。その瞳は空ろで、床の一点を意味もなく見つめ続けている。
やがて彼は苦々しく笑うと、やっとその顔を上げた。
「・・・あいつが何を考えていたか――分かる人間が居るなら、是が非でも紹介してほしい」
私とシモンは、黙ってその言葉を受け止める。
「そうだな――・・・」
彼は大きく、大きく息を吐いて、その長い言葉をひとつづつ、かみ締めるように語っていった。
「俺はあの時――この世界をこの手で変えれると、本気で思っていた。」
変えたあとの世界はどうなるかわからない。
だけど、可能性を与えることは出来ると思っていたんだ。
だが――
そんな俺に、あいつ――鬼神が俺に言ったんだ。
”死んでもいいと思ってるだろう”
”本当にお前の望む世界を変えたいと思うなら――生き残れ、相棒”
・・・目から鱗の気分だった。
傭兵にとって最大の裏切りは――共に戦い、背中を預けたものを騙すこと。
戦場の中では、小さな信頼が、全てなんだ。
”あいつなら必ずやる”
その信頼が、全てなんだ。信じてるから、自分の役割を全うできる。
そのときの俺には、V2を守ることが全てだった。それで世界を変えれると信じたんだ。
そして同時に、”あの”メンバーからの信頼も背負っていた。
でも俺自身――本当は、半信半疑だったのかもしれないな。
ただ、哀しくて、己の存在が空しくて――可能性を作り出す礎になりたいと考えた。ただ、それだけだったんだ。俺は死んでもよかった。
俺の望んだ世界に世界が姿を変えるなら――・・・
だが、計画は失敗した。
相棒に撃ち落とされ、輝く空を見ながら――俺は少し安心していたよ。
あいつの守る世界が勝ったんだ、あいつの望む世界が続いていく。
・・・やがて降下した地点から捜索の目を逃れるために、俺は逃げに逃げ――
痛む体でたどり着いた場所は、核の爆心地だった。
――・・・
誰も、いなかった。
何も、なかった。
風の音もない。
虫の声もしない。
葉擦れの音も――
鳥の声も――
何もなかった。
静かだったよ・・・
俺が作り出そうとしていた世界は、これだったんだな。
情けない話だが、降り立って初めて気付いたよ。
そこには争いもない。
国境線も、人がいないのだからあるはずがない。
だが、次に続くものも――何もない。
・・・俺は、何かを間違ったことを悟り始めていた。
大空から世界を見下ろすことで、自分の歩んでいた大地のことを、いつの間にか忘れてしまっていたんだな。
今更、涙が出た。
今度こそ、もうここで死んでもいいと思ったよ。
――だが、倒れて意識を失った俺を、運よく近くの人間が助けてくれた。
こんな場所でも、力強く生きていく人がいたんだ。
俺は、俺のしたことは、こんな風に力強く生きていける人たちを、丸ごと消してしまうことだったんだ。
そのときは、まるで神様か何かのように世界をこの手で変えることが出来ると、信じ、変えたいと願ってしまったんだ。
・・・俺も、彼らと同じ『人間』だったのにな。
介抱されて、生きながらえながら――いつのまにか、俺の中の考えは変わっていた。
死んでもいいと思っていたはずだった。
だが、――不思議なことに――そのときはもう、そんな気分はすっかり抜けて無くなっていたんだ。
相棒の守ったこの世界、相棒が信じたものを、もう少し見守っていたくなっていた。
そして俺自身も――もう少し生きて、答えを探したくなっていた。
そこでピクシーは、一息つくように、ため息を漏らす。
「・・・世界を変えるのは、兵器や、一部の政治じゃないんだろうな。」
そして床を眺めたままだった視線を、やっと私たちのほうへ持ち上げる。
「相棒は、俺を信じた。・・・分かり合えることじゃない、俺の望む世界を信じてくれたんだ。」
その瞳は、私が最初に魅込まれた、その光を放っていた。
「年の功ってヤツかな。・・・あいつは俺の取った方法では、望む世界を得られないことを教えてくれた。だから、止めてくれた。――それでよかったんだ。俺は、後悔するチャンスを失うとこだった。あいつがいてくれて、よかったんだ。」
それが、”鬼神”に壊された”片羽”なのだろう。
彼は、信念を壊し、後悔を与えていった。
だが、それは――
私は目の前のピクシーに、意図せず浮かんだ微笑みを向ける。
”鬼神”が居たから、世界は変わらなかった。
”鬼神”が居たから、”片羽の妖精”――ラリー・フォルクは変わった。
そして目の前の彼は、それを楽しんでいる。
私も、その変化を楽しんでいる。
そう、それが答えだった。
”――それでよかったんだ”
”片羽”の言葉が蘇る。
探していたひとつの答えが、目の前にあった。
・・・私は、腰掛けていたキャリーバックから立ち上がった。
「もしよければ、今の全てでなくてもいいんです。番組用に、見つけた答えのメッセージをもらえませんか?」
ピクシーは片頬を持ち上げ、頷く。
私は、カメラを回した。
”片羽”は覚悟を固めるように床に首を向けてから、顔を上げ、言葉を紡ぎだす。
――俺は死ぬはずだった。
でも死ねなかった。
痛む体を引きずってたどり着いた場所は、あの核の爆心地だったんだ。
・・・何も無い光景
それがなんだか悲しくてしょうがなかった。
でも、そこで強く生きる人々がいた。
――俺は、彼らに助けられたんだ。
・・・世界に境目なんて、必要ないかもしれない。
でも無くすだけで変わるんだろうか?
世界を変えるのは人を信じる力なんだろうな。
信じ合えば憎悪は生まれない。
――でも、それが出来ないのも人だ。
俺はまだ戦場に居る。国境の近くだ。
確かめたいんだ、国境の意味を――。
そして、そこで生きる人々の意志を。
ここに答えなど無いのかもしれない。
・・・でも、探したいんだ。
そう、今はそう思う。
――それでいいと思う。
そこで、彼はカメラを回す私に目をむけ、おどけたように言う。
「この映像はあいつも見るのか?会ったら伝えてくれ」
” よう相棒、――まだ生きてるか? ”
「・・・ありがとう、戦友。
またな。」
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いらっしゃいませ、ここは円卓で飛ぶことを夢見る、ただのいちエースファンのブログです。管理人はあおはと。
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