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あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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「真夏の光、禁断の実の毒は自らをも侵す」

私は、通された部屋で、半年前にある人物から託された、ぼろぼろの手記を読み返していた。
手記の内容はなんの変哲もない、ベルカ語で書かれた、植物の生育日記。
ほぼ毎日にわたって、葉の様子、土の様子、天気、気温、周囲の様子、水のやり方や肥料、気温の調整などで変化する植物の様子、時にはその植物に関わる昆虫や、人間などの様子が、異常なまでに事細かに描かれている。
しかし、それだけのマメさを発揮しながら、植物の種類については一度も言及されていない。
さらには、それが実をつけた頃になって、手記は突然途絶える。
飽きたのかと思いきや、それから空白の数ページを置いて、インクも字体も違う文字で、思い出したようにたった1文が書き足されている。
それが、冒頭の言葉だ。

彼は、何故こんなものを私に託そうと思ったのか。
意味深のようでいて、私にはただの生育日記にしかみえない。

私の想像するに、恐らく、書き主は日課のひとつとして種類もわからない植物を育てていた。だが、その植物は毒の実をつける植物だった。実をつけた頃になってようやく主はその事実を知り、植物を処分する。ついで、この手記も用なしになる。
しかし、これだけ几帳面に記録しておきながら、処分の記録はない。その代わりに、最後の一文が謎の空白を補完している。

そういえば、私は彼の字をみたことがない。
これは本当に彼が書いたものなのか。その判断はしようもなく、また、彼に再び連絡をとろうにも、ようとして行方も――連絡手段も見つからなかった。
唯一あの一風変わった整備士とだけはコンタクトがとれたが、彼も知らないという。これも「カン」だが、彼の態度から、この言葉に虚偽はないように思う。

私は窓の外、ベルカの灰色の山々をみやる。
太陽は真夏らしく、真上で燦然と輝き、空は一続きの稜線によってデコボコに切り取られ、地の果ては見えない。多少の雪は見られるが、山々には緑が復活しつつあった。
だがこの北の稜線の向こう、平地が始まる場所には、あの――未だ灰色の円が大地に広がっているのだろう。

”真夏の光”

ふと、私はその一文を思い出す。
灰色の円を生んだその光の卵は、もはやない。あれはオーシアに接収され、解体されたはずだ。
”禁断の実の毒は――”
見えない遥か遠くにある景色と、その言葉が一瞬重なった気がした。
「・・・まさか、ね」
私は自らの馬鹿げた考えに苦笑する。この手記が、核のことを書き連ねているなんて。
窓の向こうで、映った顔も苦笑した。

だが、次なる作品であるベルカのその後をテーマにしたドキュメンタリーを、7つの核事件を軸にして作ってみるのも、いいかもしれない。
世界は、あの戦争――そして、核から学ぶべき余白をまだまだ残している。
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Comment
う~ん
まさに、「……ふ~~~ん…」ですね。
勿論、凄いと言う意味での。センス凄すぎです。
読んでて鳥肌立ちましたよ。
私、文才が無いのでどう感想を書いて良いやら……

>光の卵は、もはやない。
卵、結局、羽化しちゃいましたね。
余談ですが、トンプソンやピクシー、ベルカの生き残ったエース達には、環太平洋戦争とラーズグリーズはどう写ったんでしょうね……

>核から学ぶべき余白をまだまだ残している。
ACE世界の話なのに、現実世界にも通じてるように感じてなりません。
そういえば、「63回目の夏」は「平和の祭典」に飲み込まれてしまいましたね……
良いのかなぁ、これで……と思ってしまいます。
ヤケン 2008/08/13(Wed)00:38:59 編集
SS感想返信
コメント有難うございます!
作品のご感想への返信・・・ということで、今回は簡潔にさせていただきますね。(いや、自分の文に対してつらつら語るのも気がひけるので;

>環太平洋戦争
これを書き上げて、トンプソンの立場から5をふっと振り返ったとき、そんな考えが浮かびました。
特に、鬼教官の人が、あの瞳でどんな風に見ていたのか・・・

>63回目の夏
その関係のものを目にして、生の手ごたえが段々となくなっていくこの世の中でも、それでも「考えるきっかけを大事にしなければならないんだなあ」と思いました。
なので、こんなモノを書いてみたりしたのです。

読んでくださって、有難うございました^^
あおはと@master 2008/08/16(Sat)16:02:05 編集
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