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あおはとのゲーム雑記。元々AceCombatブログでしたが今はいろいろ・・・
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≪沈黙の片羽≫
エースコンバットZEROの読み物。
ベルカ戦争を駆け抜けた鬼神の姿を、登場人物の視点から振り返る

REVEAL ONE
エースコンバットの世界で
2005年時点の読み物。
ブレット・トンプソンがヒロインの物語。

REVEAL ONE
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機体が沈む。回る。浮く。そして、押し付けられる。
洗濯機の中に入ったら、きっとこんな感じなんだろうと、他人事みたいに私は思った。

視界がぐるぐる回り、天地がひっくり返る。頭の上の海がどんどん迫り、そしてまた座席に押し付けられ、世界が回る。海面で針のようなしぶきがいくつも跳ねる。
人間の置かれるべき状況を軽く超越した物理法則に、私は首から上が持っていかれそうだった。
≪クソッ、中らない!≫
中らない。
神は信じないが、きっと彼らの神が、私たちの翼に中てられないことを最初に決めたんだろう。そうとしか思えない。
私は観念してヘルメットに手を添える。とりあえず、またムチウチになるのだけは簡便だ。
≪応答せよ、応答せよ!≫
誰かが無線の向こうで執拗に叫んでいる。
しかし馬車引きは、あざ笑うように機体を勢いよく傾けた。
あたりはまだ薄暗く、私は自分が今地面に向かって足を向けているのか、頭を向けているのかすらも分からなかった。ただ、体が右下に押し付けられることからすれば、上昇してるのかもしれなかった。
今度空に上がる機会があったら、こんな運転ができないように、キャノピーに張り付いて彼の操作を一から十まで見張ってやる。私は固くそう心に誓った。
そのときだった。
≪交戦中の各機に告ぐ≫
先ほどとは違う声が無線に割り込む。淡白な、ピーナッツみたいに乾いた声だった。
≪夜間訓練、ご苦労。ここから先は進入禁止空域にあたる。管制官から聞かなかったかね?≫
≪・・・≫
静寂が空を支配する。
さっきまで小五月蝿く飛んできていた弾丸がピタリとやんだ。
さっきまで一緒になって蹴落としあっていた荒くれどもが、今度は肩を寄せて相談している。
――どうする?
馬車引きは、それでもゆるやかに上昇をきめこんでいるようだった。
そんな静寂を破ったのは、無線が破裂するんじゃないかというほど元気な、また別の声だった。
≪めんどくせえ!≫
ガクン、と機体が傾いだ。
≪全部落としゃあいい、全部!ようファ××ンクソッタレ、まだ貞操は無事か?≫
≪おいジッパー、チャックが開いてるぞ≫
≪確認した。上までキッチリあがってる、間違いない!≫
≪お前のお口のチャックだよ≫
≪ネガティヴインサイト!≫
≪おい、おつむも開いてるみたいだぞ、脳ミソ漏れないか確認しな≫
≪いけね、早くヤりたいって垂れちまってら!≫
前のヘルメットが不自然に揺れてる。まるで、笑ってるみたいだ。
≪レイヴン1、うるさい。口を慎め。公共の無線で卑猥な口を叩くな。今度無駄口を叩いたらペナルティーを科すぞ!≫
≪ラジャー!≫
まるで、馬車引き以上の常識破りの連中がダンスのために駆けつけたみたいだった。
駆けつけた。
その表現に、我ながらピンと勘がハマる。もしかして・・・
その勘ぐりを裏付けるように、最初の声が空気を払う。
≪申し遅れた。こちら、イーグルアイ。ウスティオ空軍第六航空師団所属AWACSだ。繰り返すようだが、この空域は侵入禁止区域にあたる。力尽くで追い返されたければ、我が軍の戦闘機がお相手しよう≫
≪げ・・・≫
誰かの無線が漏れた。
私の息も止まった。
ウスティオ空軍が、何故ここに!?
空にしては長い空白の後、誰かの無線がぽつりと零れる。
≪どうします≫
≪・・・≫
一呼吸の後、返答が返る。
≪退くぞ≫
≪ラジャー≫
いくつかの声が重なった。聞いたことがあるようなないような、そんな声だった。
≪悪運の強いヤツだ。――もっと力の発揮できる場所がお前にはあるだろうに≫
それは敵にしては誉め言葉だったのだろう。
馬車引きがちらりと後ろを振り返った。
≪また会おう≫
空に、静寂が戻った。まるで、風が全てを払いのけていったように。


≪こちらイーグルアイ。そこの民間機、聞こえるか≫
≪聞こえる≫
≪貴君のコードネームを述べよ≫
≪こちらリヴィール・ワン。進路変更が必要か?≫
無線の相手は苦笑したようだった。
≪いや、必要ない。・・・無線の周波数の変更を。≫
≪ありがたい≫
そんなやりとりに混じって、いつの間にか前方の薄暗い闇に、転々と赤や青のライトが浮かび上がっていた。
≪ヒュー、相変わらず太い神経だぜ!こちらレイヴン1!コードネームの変更をするかい?≫
≪こちらイーグルアイ、肯定。≫
≪こちらレイヴン1改めリヴィール・ツー!ウスティオの賓客どのをお迎えするぜ!≫
ウスティオの賓客とは誰のことか。
この場合、言わなくても特定できる人物は二人しか居ない。
私か、それとも馬車引きか。
――恐らくは前者であろうが、私には後者の”疑惑”が否めなかった。
そう、できすぎている。
ウスティオの鬼神について調べることに、ウスティオ――というよりも、これはウスティオ空軍としての意向なのだろうが――は、頑なに協力を拒んでいた。
色々調べた後ならではだが、今なら私にも分かる。何故、ウスティオ空軍がこの事実を隠そうとしていたか。あまつさえ、オーシアやサピンにいたっても、協力を申し出なかったか。
理由は簡単である。彼らにとって、都合が悪かったからだ。
特に、ウスティオにとってはさらに都合が悪い。”鬼神”といい、”片羽”といい、見ようによっては国家の失態ともいえる、恥ずべき事態だ。他の国にしたって”国境なき世界”というテロリストグループの観点から見れば同様だろう。なにしろ、正規軍だったパイロットが幾人も寝返っているのだから。
それを押して私をウスティオ軍という名を出して迎えに来る理由。
考えられることといえば、ここまで情報を掴んだ私を消す方向ではなく、生かす方向に態度を変えようとしていること。
とすると、私を邪魔に思っていた勢力というのは、もっとも都合の悪いウスティオではないということになるが・・・今の段階では、情報が少なすぎて想像することすら難しい。
しかし、これらの事情はあるひとつのことを仮定することによって、パズルがはまるように、その態度が容易に符合する。
すなわち――馬車引きが鬼神である、ということ。





※まだ改変するかもしれません
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